2017年1月28日土曜日

各種舞踊表現

各種舞踊表現という集中講義の授業の一環でKentaro!!くんと大野慶人さんにお越しいただく。
全く逆ともいうべきこの2人の舞踊家を招いたのは多様な舞踊文化に触れて欲しいと思ったためであり、世代により、目指すもの、見ているものが全く異なるという予感がしてゆえだった。

30代のKentaro!!からはストリートダンスをベースにした体を徹底的に動かしながらそれぞれの色を見せる振り付け作品をもらい、繰り返し練習していくことで体が変化していく様、心が動く様を体感してもらった。舞台での表現について考えていることやカンパニーについての話からプロとして踊ることへのこだわりや厳しさも見てもらった。

70代の大野さんからは心の動きから身体へとつながっていく様、シンプルな動きゆえの難しさ、それゆえの表現の広がりに触れてもらった。若かりし日の映像や話も含め、20代での一つの出会いがいろんなつながりを生み出し、今の生活、そして表現につながっていることを含め、お話いただいた。

作品の見え方は全く異なるが2人ともに言えるのは命を張って踊り続けているということではないかと私は思う。(特に大野さんはご高齢ということもあり、よくぞ鳥取まで来ていただいたと思う。まさかの大雪で帰れなくなった時には本当にどうしようかと思った)若い世代を育てることに熱心なのも似ている。

芸術文化センターの学生は必ずしもダンスに関わるわけではないが、それでも熱く語る彼らの姿勢から学ぶことは大きかったのではないかと私は思う。

大野慶人レクチャーデモンストレーション

今回の大野さんのレクチャーデモンストレーションは昨年2月に発表した「それはこのようなことだった」における禁色についてのレクチャーをベースにしています。
新しい作品をどんどん作るというだけではなくて、一つのことを少しずつ掘り下げながら深めていくというのもとても重要だと思います。日本の舞台公演って一回やっておしまいになってしまう傾向があってもったいないなと思うのです。ここ数年レクチャーデモンストレーション、レクチャーパフォーマンスという形態が増えていますが、言葉のないダンスの背景を知る上でとても有効な方法だと思っています。舞台公演に限らず広めていくということが大事ではないかと。
日本全国の大学などでこのような試みが広まっていくと良いのではないかと思うので、今回の構成を上げておきます。

第1部舞踏の代表的な作品を映像で振り返る。
舞踏の発生についてのトーク、
土方巽「疱瘡譚」を見ながら土方さんについて、
大野一雄「ラ・アルヘンチーナ頌」初演時の「ディヴィーヌ抄」最後の公演の「鳥(タンゴ)」を見ながら父について、
現在若い世代へ伝えたいとして精力的に活動なさっていることを踏まえ、前日からのワークショップでまとめた学生たちによる作品発表
第2部大野慶人が踊る舞踏の今
土方巽の言葉による振り付け三章
へそと原爆(細江英公監督作品)の上映
うさぎのダンス
アンコール

全く舞踏を知らない人からよく知る人まで学ぶことが多い、充実の内容となりました。これらは慶応大学アートセンター、NPO法人舞踏創造資源、NPO法人ダンスアーカイブ構想などのご協力によるものです。また、金光さん、溝端さんといったご家族のご協力あって実現した企画でもありました。皆様ありがとうございました。

言語化しきれないダンスの世界はやはりその場所にいて共有しなければ伝えることができません。地方都市(鳥取は都市とも言えない)ではなかなか出会うこともないのでそれを作ることから始めていかねばと思います。

昨年2月大野さんといっしょに作ってた「ダンスハ體育ナリ」も分割しながらちょっとずつ深めていこうと思います。

2017年1月10日火曜日

KENTARO!!登場

各種舞踊表現という授業の一環でダンサー振付家のKENTARO!!さんに鳥取に来ていただきました。忙しいはずなのですが、ありがたい限りです。
鳥取大学芸術文化センターは超少人数(しかも皆がダンサーを目指しているわけではない)なので、贅沢なワークショップとなりました。ついでにダンス部の皆さんにもちょっとレベル上のクラスを行っていただき、3日連続。私もかなり勉強させていただいた感じです。

ストリートダンスを元々していたところから自分らしい表現を求めてコンテンポラリーのジャンルに流れてきたこと、これまでやってきた演劇や音楽が作品の中に生かされていることなどいろんな話をしてもらいました。14の頃からクラブなどで踊るようになり、当時一緒に踊っていた仲間たちには今第1線で活躍している人もいるとのこと。それぞれの道で磨き続けてきた結果、それぞれの道で生き延びている、評価されるようになっているということで、それだけ没頭していた時代があったからこその今であり、その基礎をしっかりやる時はやっぱり必要なのだろうと私は思いました。

個人的にはこの人カンパニーを育てるのがえらいなあと。
(当たり前なのかもしれませんが、私はそういう団体を持たないので、尊敬してしまいます)自分に厳しくメンバーにも厳しそうですが(かなり)でも一緒にグループを作り、一緒に生き延びていこうという覚悟みたいなのが見える人です。作り方とか考え方的には私は真逆なので、頭が上がりません。(これは初めて会った2008年くらいの頃からずっとそう思っています)

最後に即興で踊ってもらったのですが、最後のが一番よかったなあと。
多分ボキャブラリーもたくさんあるのだけれど、それを超えちゃったところにある自由さ。ストリートダンスは型がかっちりしていて、それが入っていてこそなのですが、最終的にはその領域に行くべきもので、型を超えるものではないか。守破離を思い出しました。
ストリートとクラシックバレエは似ているとも。私もそう思います。
基本的にこれすごいでしょ!を見せるもの。でその中にある表現。でも本当にすごい人はそこを超えて表現が見えてくる。
いいものを見させていただきました。

私も頑張らなきゃです。