2013年12月31日火曜日

2013年

この2013年はこれまで行ってきた活動をまとめるような1年でした。特に出身地札幌での活動は離れていることもあり、なかなか実行できていなかったのですが、はじめることができたことをとても幸せに思っています。
また、自主制作による作品発表を続けることで、これまで多くの方の支えがあって活動できてきたことを改めて感じました。ありがとうございます。今後もしっかりと続けていこうと思います。

2013
◎企画運営を行ったもの
Dance and Music
1月は札幌市資料館、滝川市美術自然史館にて、10月は札幌レッドベリースタジオと東京喫茶茶会記にて即興とコンポジションの間を探る試みを行いました。Hugues Vincent(チェロ), 上地正彦(ピアノ、バスクラリネット)、中沢レイ(ダンス)の他、墨絵師杉吉貢さんなど特別ゲストも参加、好評をえました。20143月ベルリン、トゥール、パリにて上演予定です。

「筒井筒」
ティアラこうとう小ホールで行われる舞踊作家協会の公演ですが、師の牧野が舞踊展に専念するため、弟子たちが作品を発表する形をとりました。「森に浮かぶ〜夜の黒い森に浮かんでくる一人一人の心象風景」と題された会。私はフレームドラムのノブナガケンさんにお願いし、20分の「筒井筒」という作品にまとめました。


orbital link
中沢レイさんが考案したダンスと音楽のイベントを札幌で開催、地元のアーティストとの出会いの場をつくりました。また、三重の洞窟にて踊る(企画は中沢さん)などの機会にも恵まれました。

「からたちから」
昨年北池袋にある小劇場Atelier SentioのフェスティバルSentival!の企画として制作した「からたち」を同じ巣鴨教会にてつくり直して上演いたしました。巣鴨教会に通いながらキリスト教について学ぶ一方、その教会で活動するコールシャンティ合唱団にご参加いただくなど、場にこだわった作品作りを行いました。

◎セッション
上述のdance and musicもセッションといえばそうなのですが、ここではそれ以外のものを。
蜂谷真紀(vocal)・石田幹雄(piano)@Alma on music(相模大野)
地元にあったジャズバーがなくなってしまうぎりぎりのところでよんでいただいたセッション、石田さん札幌出身ということもあり、相模大野在住ということもあり今後もよろしくお願いします。新年初めのライブは蜂谷さんです。蜂谷さんはTIO時代から目を付けていましたが、歌い手であるというよりは身体も声も踊る人です。

方波見智子(malinba)@両国門天ホール
「バミ祭り」の2日目ということで昨年(昨年は移転前の門天で開かれました。before afterのようでそれも面白いことです)に引き続き参加させていただきました。たきなみさん、細田さんもご一緒です。マリンバだけではなくバラフォンも登場、面白いです。

織原良次(flatless bass)「透明な家具」×木野彩子@茶会記
織原さんは深夜廟という一晩企画を有しており、BGA(back ground ambient)という音楽形態を続けている方。そんなこともあり、今回4時間半という茶会記開店から閉店まで踊り続ける形を試みました。途中詩をよんだり、花をいじったりしてはいても4時間半ずっと踊っています。

池上秀夫(contrabass)「おどるからだかなでるからだ」×木野彩子@茶会記
池上さんは月一でダンサーとのセッションを続けており、その一人としてよんでいただきました。本人の希望もあり完全即興でした。

TIO(Tokyo Improvisers Orchestra)
過去3回コンサートに参加していますが(ワークショップなども)、残念ながら4回目は「タカセの夢」とかさなりお休みすることに。主催のMiyaさん、まれすけさん他皆さんとても面白い方々で今後も楽しみにしています。


◎ダンサーとして参加したもの
「告知」新国立劇場 新進芸術家海外研修員による現代舞踊公演
ハンダイズミ作品
クラシックバレエのバレリーナ下村由里恵さんの他廣田あつ子さん、関口淳子さんといった先輩ダンサーに囲まれて「受胎告知」をテーマに踊らせていただきました。「からたちから」とあわせてご覧いただけると幸いです。

「瞳のない目」メルパルクホール 現代舞踊展
牧野京子作品
私の師である牧野京子の作品です。最後になるかも(いえ、そんなことはなさそうです)と稽古場総動員で踊りました。

「世代間の対話」「Ren dance」森下スタジオ山崎広太企画、whenever whereverフェスの一環として開催されました。

◎ワークショップ
この数年続いている大学、短大の授業の他以下のような活動も行っています。

「タカセの夢」
毎年かかわっているこのシリーズも4年が経過、今年は韓国、大阪、静岡と上演を行いました。私は振付アシスタントとして通訳のような、先生のような、スタッフさんのような不思議な立場にいます。劇場もBOXシアター対応となり、コンパクトかつお客様全体がバオバブの樹にかこわれているかのようなかんじでご覧いただけます。

「ゆるやかにのびやかなからだをつくる時間
町田成瀬(SOPIC、高が坂ふれあいセンター)で、6−7月と10−12月で開催しました。保育資格を持つ方がこどもをみていてくださるということもあり、地域のお母さんにとても好評の企画となり、派生してまろんちゃんのおうち(保育園が開いている子育て支援のスペース)などでもこどもとままのふれあい遊びのワークショップを行いました。

「ASIAS」
北区の小学校にてワークショップを行いました。授業の一環ではありますが、昼休みに全校生徒の前でパフォーマンスを行ったりと楽しい時間でした。

「からたちから」
上述の作品はコールシャンティ混声合唱団さんにご協力いただいて作成しましたが、関わる過程で指揮者野本先生の無茶ぶりにより何曲か簡単な振付をつくり、定期演奏会で発表しています。元々身体トレーニングを行う合唱団ではありましたが、どんどんアクティブになっています。



他、北海道教育大岩見沢校、教文コミュニティダンス部、阿佐ヶ谷美術専門学校などでも短期のワークショップを開催しました。今後も一般向けワークショップは積極的に展開していきたいと考えています。




2014年は昨年神奈川芸術劇場で上演した20分作品「しづ」を「静」として練り直す試みからスタートです。
その後コミュニティダンスに関するリサーチとパフォーマンスのため1ヶ月ほどヨーロッパ(英、仏、独)へいってきます。2009年に帰国以来、約5年ぶりになります。
また春より筑波大学夜間大学院にて学ぶことになりました。(まだ入学手続き終っていませんが)英国でみてきたコミュニティダンスの事例が現在どのようになっているのか、特に劇場と地域コミュニティ形成のために継続的なプロジェクトの可能性を考えたいと思っています。
毎年夏に関わっている静岡舞台芸術センターのSPAC enfant プロジェクト「タカセの夢」も5年目になります。子供達は年々成長し、旅立っていきます。その間にも作品は練り上げられ、刻々と変化していきました。一つのイベントでおしまいではなく、少しずつ広め続けていくために、私は何ができるだろうかと考えます。輪を広げつないでいくこと、それがきっと2014年のテーマなのだと思います。
今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。


静ご案内文

「静」公演のご案内

いつもお世話になっております。
このたびTPAMショーケース参加作品として「静」を上演することになりました。
「静」というタイトルは有名な白拍子静御前よりつけさせていただきました。
日本中世における男装の舞である白拍子舞は巫女と遊女という両極の女性像を内在しており、舞踊の根源を探るうえでとても興味深い事例だと考えます。しかしながら現在伝承されてはいません。資料や民俗芸能へのリサーチを元に現代における白拍子の舞を創り出そうと考えました。昨年神奈川芸術劇場にて発表した20分作品「しづ」を元に、音楽に国内外で活躍する箏奏者八木美知依さんと照明三浦あさ子さんを招き、祈りのダンスをBankART NYK 3階の倉庫空間に浮かびあがらせます。

皆様にもぜひご覧いただきたくご案内申し上げます。
誠に勝手ではございますが、当日の受付の混乱を防ぐため、できる限り前日までのご予約をお願いいたします。





2013年12月24日火曜日

茶会記忘年会

いつもお世話になっている茶会記さんの忘年会にいってきました。
気がつけば人が殺到し、えらい大騒ぎになっている忘年会。今年は少し落ち着いていましたが、パフォーマンスなどは最後の茶会記の曲(なんとオリジナル曲があるのです、森本さんと池田さんの演奏)だけで、あとはとにかくいろんな人をオーナー福地さんが紹介していきます。建築会社から、音楽、ダンス(ダンス系が増えているんですと福地さん)、絵、音響、デザインなど本当に幅広い。久しぶりにあう方々にもお会いできたので本当によかったです。

そのときたまたまというかあってしまった坂田さんライブにお邪魔することになりました。しかもそのときたまたま隣にいた、あこがれのチェリスト森重さんも一緒に。すごいことになりました。どきどき。

1月28日@茶会記

坂田さん曰く
やっぱりいろいろ動き回らないとだめなのよ。
で、だめならだめでそのとき考える。
時間があいてまたいってみたら、すごくよくなったりもするし、動き回っているうちに人のつながりができていくから。
だそうで、その場の勢いできまってしまいました。

とりいそぎのご報告、詳細またお知らせします。

巣鴨教会キャンドルサービス

巣鴨教会のキャンドルサービスはクリスマスイブイブでした。
いいのでしょうか。。。(クリスマスイブには礼拝などがないのです)
ともあれ、久しぶりにシャンティさんにお会いしコピーしたDVDをお渡ししたり、おはなししたりの楽しい時を過ごしました。
DVD、御代田くんが大急ぎでつくってくれたのですが、ここ数日のドタバタでまだみていません。これは今日みなければでしょうか。。。

キャンドルサービスの最後に「からたちのはな」を歌ってくださり(ちなみに礼拝中にキリエとアニュスデイを)やはりよい歌で、思い入れもあるので涙がでてきてしまいました。

そうか、アマノガワはキャンドルサービスだったのか。
そんなことを思ったりもしつつ。

パフォーマンスキッズトーキョー

パフォーマンスキッズトーキョーのシンポジウムに参加する@千代田3331

芸術家とこどもたちが行っているアーティストの学校派遣プロジェクトの長期バージョン。私が参加させていただいたのは2日だけのASIASでしたが、10回(あるいはそれ以上)のワークショップを積み重ねてこどもたちと作品を制作、学芸会や3年生を送る会などで発表を行うというもの。アーティストはダンスに限らず、音楽美術など幅広く、シンポジウムで話していた港さんのように太鼓をつくるところからスタートする音楽などボーダーレスな活動も可能。
今回のシンポジウムでは文化人類学の先生と、現場(通級学級)の先生、脳科学者、アーティストとバラエティに富んだ人選でした。
その文化人類学の先生は三木成夫の「胎児の世界」の話し(懐かしい!とりあえず身体系の方はぜひ読むことをお勧めします。基礎知識なくても読むことができます)をはじめ、体奏家新井英夫さんのつぼどころにはまり、もりあがったりもしたのですが、個人的に興味深かったのは、通級学級にかようこどもたちの話しでした。
昔自閉症と呼ばれていた症例は今はかなり分類されるようになりました。カウンセラーなどと相談の上コミュニケーション面で様々な困難を抱えるこどもたちを週に何時間(何日間)か預かり、クラスを展開しながら、コミュニケーションの仕方に気づきを与えていくというものです。自分の感覚を言語化することが上手くできなかったり、いろんな考え方があるというのが理解できていなかったり、そのこどもによって異なるのですが、皆で様々な遊びをしながらそれぞれが考えていく。
自分がこどもだったとき、そんなクラスはなかったし、そんな分け方というのはなかったので、今はそこまできているんだと驚きました。おそらく昔もコミュニケーションが上手くできないこどもはいたと思うのです。おそらく今と同じくらいに。(なお、そのシンポジウムの中では「何らかのサポートが必要なこどもが6,5%だか6,8%といる」との言葉がありました)その人たちはどのようになっていったのか。

また、誰かの質問でこどもたちは認識しているかというものがありました。
気づくということは痛みを伴います。
気づき、そしてそれを改善していくというのができればそれでいいのですが、そのことにより自分を責めてしまったり、他人を認められなくなっていく。まずは自分を認めるところからという現場の声はパフォーマンスキッズトーキョーに限らずすべての芸術活動を必然とする言葉ではないかと思いました。

逆に言えば
学校に外から入る異物(アーティスト)としていく以上、
「みんなでできてたのしかったね、もりあがってよかった」だけではいけなくて、
「なぜ表現が必要なのか」ということをみせれる人であった方がよいのではないかとも思いました。学校の先生ではない人だからこそできる役割。

ちなみに1階ではポコラートの展示を行っていて、それもとても興味深かったです。
暗闇で走るワークショップが興味ありすぎて仕方ありません。(既に終了)



2013年12月12日木曜日

ゆるやかにのびやかなからだをつくる時間@町田成瀬終了しました。

WS
ゆるやかにのびやかなからだをつくる時間@町田成瀬

無事に終了いたしました。
場所を点々とうつしながら行ってきたこのシリーズも3年以上が経過し、多くのこどもたちとままに出会うことができました。
最終日にはちいさなパフォーマンスということで1曲踊らせていただき、こどもたちもびっくり!!しておりました。ついでにおどりはじめました。楽しい時間でした。

いつも助けてくださった小島さん、平田さんの強力託児スタッフのおかげで成り立っているこの企画ですが、冬場は風邪などのリスクが高まることもあり(お二人とも普通にママなので、自分の子供が熱をだしたりアクシデントがあると成り立たなくなってしまいます)一回ここでお休みいただくことになりました。

ただ需要はあるため、託児スタッフあるいは場所が確保できれば少しずつ開催する方法を模索したいと考えています。
受講料はママ視点からするとこれ以上あげたくなく、しかし託児の質を考えるとこれ以上定員も増やせず、なかなか経済的には厳しい状況です。元々川崎市アートセンターという半分公の場所でのワークショップだったせいもありますが、劇場あるいは学校などと連動していく必要を感じています。
まさしく、劇場の有効利用と、地域コミュニティの形成のためのダンス、私の研究計画そのものです。なのでここからなんとかがんばります。


ゆるやかにのびやかなからだをつくる時間 in 秋の成瀬
10月8日(火)、10月22日(火)、11月5日(火)、11月19日(火)、12月10日(火)

各回とも10:15~11:30am

ナビゲーター:木野彩子
参加料:800円(税込・当日清算)
定員:10名
会場:高ヶ坂ふれあいセンター 多目的ホール(1F)

【お申込み・お問合せ】
ゆるのびワークショップ 
メールアドレス:yuruyakani5656@gmail.com

お申込みの際は、以下の項目をメールにてお知らせください。
1)お名前(ふりがな)
2)日中連絡のとれるお電話番号
3)お子さま同伴の場合は、お子さまのお名前と年齢

※各回2週間前よりお申込みを承ります。
※お申し込み後、当方からの確認のお電話/メールをもって
受付完了とさせて頂きます。
初回10/8(火)は、9/24(火)からお申込みを承ります。
お申込みをお待ちしております~





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からたちからの裏

「からたちから」通称うらからたちは「からたち」通称おもてからたち(昨年6月発表)を5分でまとめそのつづきへとつなぐという裏技で作られた作品。
しかもろうそくの光をつけていく→けしていくということで「からたち」と「からたちから」足して作品として完成します。しかし残念なことに両方みた人は意外に少ないのが残念です。

場所設定、照明実験などをしながら全部手作りで作り上げてしまっただけに、スタッフ達の苦労はおしてしるべし。私自身も翌日翌々日と照明機材などを返却したり、仕事があった分をこなし休みになったとたんに昏睡しました。
その分思い入れも深く、そして愛すべき作品であったと思います。
皆様へ感謝をこめて。



1巣鴨教会
この場所がなければ「からたち」シリーズはうまれなかったと思います。私自身が大学時代に住んでいたのは少し離れていて自転車で10分程度のところ(大学裏手)でしたが、大塚は親友の住む土地でよく通っていたのは事実です。狂言研後輩も徒歩3分くらいのところに住んでいました(そのアパートは発見できず)。
なお、ナレーションの戸井さんは学校に通うために毎日のように近く通過していて、しかし教会に気がついていなかったのも事実です。
巣鴨教会に出会った(Sentival鳴海さんの紹介)のは昨年の3月頃の話しでちょうどその時は受難についての講話が続いている時期でした。「からたち」のドラマツルグはそこから発生しています。
そんなわけで巣鴨教会にであったのは東日本大震災後になります。ほぼノンフィクションなのですが、そこだけ演出上直しています。(台本上巣鴨教会に出会ったあとにみんないなくなるようにみえます。)
昨年は出会って2ヶ月後には本番という超短期での作品制作だったため、さすがにいっぱいいっぱいでした。今年はそういう意味でリベンジというか作り直しです。しかし学び始めるとキリスト教(あるいはすべての宗教)は大きすぎてとてもでないですが、学びきれません。宿題がたくさん残ってしまいました。



2渡辺牧師
カーテンコールでも演奏してくださった牧師さん、昨年もあの人は何者?と質問が殺到していました。オルガンが専門だそうですが、巣鴨教会牧師としてのお仕事と大学教員としての顔、合唱団の指揮と多忙な毎日をおくっていらっしゃいます。
牧師さんがぽろっと話してくださったダビデ王が踊った話しというのはサムエル記(旧約聖書)にでてくるエピソードです。

3コールシャンティ混声合唱団
すばらしい歌声と思わずクスリとわらっちゃうエピソードを披露してくださった皆さん。年齢層(大学生から70代まで)も幅広く、しかし仲良し。これも野本先生の力によるものと思われます。名物指揮者野本先生実は70歳代。シャンティ率いて50年以上。独特のユーモアセンスで皆を笑わせつつ、解剖学に基づいた細やかな指導で合唱団としては少人数(野本先生談)のシャンティを力強く引っ張ります。今回参加してくださったのは16名の団員さん。
リハーサル期間は短いのですが、身体と声は結びついているというシャンティさんの練習に何度もお邪魔させていただき、一緒に発声練習をしたり、縄跳び飛んだり私自身もいい学ぶ機会をいただきました。
ただ、私が歌えるようになるかというとそう簡単にはいかず、まあ、難しそうです。

今回巣鴨教会とシャンティさんをみていて、特に継続していくことの大切さを思いました。そして幅広い世代が関わっていくこと。これについてはまた別途記載します。


4戸井香織さん
前回「からたち」に引き続き出演の戸井さんは大学時代の同期。つまり、同い年(しかも1週間しか誕生日が違わない)です。大学時代に大塚に住んでいたことも含め、私がたどってきたもののほとんどを知り、かつノンフィクションとして話すことができる人です。(私がヨーロッパにいる間彼女は札幌にいたりと共通項も多いのです)昨年光をつける係を演じていただいたため、光を消す係もお願いしました。
この1年の間に彼女は愛媛の実家へ戻っていたため、今回は愛媛から飛んで(文字通り)きてくれました。怒濤の3日間。台詞は減りましたが、照明などもきっかけがたくさんあるので、大変だったと思います。
今回の「からたちから」は「からたち」となくなってしまった「幻想銀河鉄道」(2012)の後半シーンがおり合わさってできています。銀河鉄道構想の4分の1くらいが実現したといってもよいかもしれません。その頃から関わってくれている彼女が春と修羅を読むというのは私たちにとってとても特別なことでした。
いつかまた「銀河鉄道」へとつながっていけばと思っています。

5古里麻衣さん
古里さん(通称まいまい)本当はカメラマンです。Amanogawaプロジェクトでも写真を撮ってくれた他、今回のチラシもつくってくれました。しかし、今回極度の人不足からなんと音係に任命。ついでに照明も。大変なことになってしまいました。
(なお、音は昨年たくさん苦情がきたこともあり、アンプ・スピーカーすべて持ち込みました。上地くんありがとうー)
少ないリハーサルながらばっちりとこなしてくれました。さすがです。
しかし暗かったことと、本番は音の操作があったこともあり、写真がほとんど撮れず、、、申し訳ないことをしました。。。
でもまいまいなしにはこの作品は上演できなかった(なお昨年の「からたち」は私と戸井で操作をしていて音係すらいませんでした)です。大幅レベルアップです。ありがとうー

6内藤久義さん
UTCPの研究員内藤さん。非常勤仲間だったことからスタートして昨年「からたち」を見に来てしまったがゆえに、まきこまれることになって気がつけば、裏方なんでも担当。照明セッティングに、受付ととびらライトとシャンティさんの誘導係、すばらしいテキパキ具合と野本先生との意気投合具合で、強力助っ人となりました。
さすが舞台慣れしている(昔からよく舞台の手伝いはしていたそう、元々は美術作家さんです)。
今回最後の最後に大きな演出上の変化がありましたが、それは内藤さんの疑問からくるものです。ありがとうございます。

7オリバーさん
内藤さんがつれてきてくれたベルリン自由大学からの留学生。日本文学の研究をしているとのこと。でも実は昔はダンサーだったそうで、ギリシャでカンパニーダンサーしていたこともあるらしい(でも今は太っちゃってだめねという)。みていて自分も踊りたくなったそう。3月にベルリンに帰るといっているので、もしかしてベルリンでオービタル??のときに一緒に踊れるかも!ともりあがりました。
ろうそくなどいろいろアクシデントが起こるといけないので、そのサポートをかねてきていただきました。
日本語がとても上手でフレンドリー。またお話しましょう。

8御代田くん、中村くん
昨年「からたち」に引き続き映像を撮ってくれたのは御代田くん・中村くんコンビ。中村くんは初めてお会いします。野本先生にはツルカメコンビ(つるんだカメラ2人)などと名付けられ、仲良しの様子。
御代田くんは前から知っている(上地くんつながりでおそとダンスやかめりあなどを撮影してもらっていました)のですが、今回はなみなみならぬ暗さ具合でちゃんととれているかかなり不安です。カメラ機材は結構いいものを持ってきてくれたようですが、それでも暗いのはどうしようもない。。。どきどきです。
私の作品はいつも暗いといわれていますが、それ故に生でみていただくのが一番です。人間の目ってすごいですね。
オリバーさんではないですが、「ベルリン、いいなあ、いきたいなあ」という話しになり、もしかしたら撮影班(でも仕事ではない完全自費)できてくれるかも、、、なんだかどんどん話しが広がっているヨーロッパ、、、

9アトリエセンティオ
今回扉口から差し込む光をお借りしたのは北池袋にある小劇場アトリエ センティオさん。昨年「からたち」を教会で作ることになったきっかけを与えてくれた劇場です。代表者の1人鳴海さんはその後フランスに渡り、かえってきて、今は三重と東京をいったりきたり。三重の津という中沢れいさんのいるエリアということもあり、今後もつながっていけたらと思っています。やはりあの影をだすには劇場照明の強さが必要で、とても印象的なシーンにご協力いただきました。



多くの方々に支えられて出来上がった「からたちから」。
本当にありがとうございました。


なお、感想が少しずつ送られてきています。
その場のアンケートが昨年と比べて少なくて、不安になっていたのですが、あとからちゃんと文章にして書こうと思ってくださった方が多いようで、すごくうれしく思っています。
うかうか話せんと思ったというコメントはするどいです。

私は私の人生についておはなししているのですが、
私の人生が特別なものではなく、すべての人の人生がそれぞれに同じように重みのあるものだと思っています。当たり前のことですが、それを忘れてしまいがち。それを思い返すことはなかなかしんどいことですが、それができるようになるといいなと思うのです。
あふれる涙は作品に感動したというよりは、自分の人生が浮かび上がるから。
昨年以上にヘビーな作品になりましたが、こうして一つ形にまとめることができたのはよかったと思っています。

劇場ではおそらくできなかった、この場所、この時期、この人たちだからこそ成り立つ作品。そういうものに出会えたことをとても幸せに思います。

今後も感想などお待ちいたしております。
また、コールシャンティさんは団員募集中です!(強調!)

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。









「からたちから」

「からたちから」
無事終了しました。パフォーマンスの写真はない状態ですが、情報をのせておきます。





写真古里麻衣



日時:2013128日(日)18時半開演
場所:日本基督教団 巣鴨教会 
料金:前売、当日共に 2500円、学生1500
構成、出演:木野彩子
特別出演:コールシャンティ混声合唱団(指揮 野本明裕)、渡辺善忠(巣鴨教会牧師)、戸井香織
音楽:    
上地正彦“Amanogawa プロジェクト”(2012)
Tomas Luis de Victoria “Missa Quarti Toni(第4施法のミサ)よりキリエ
山田耕筰“からたちの花”(上記2曲コールシャンティ合唱団合唱曲)
J.S. Bach “前奏曲とフーガBWV543”よりフーガ(演奏:渡辺善忠)、
同 ゴルドベルク変奏曲よりアリア(演奏Glenn Gould 1981

宣伝美術、写真:古里麻衣
映像記録:御代田直樹
協力:古里麻衣、内藤久義、Oliver HartmannAtelier Sentio、鳴海康平(第7劇場)、Amanogawaプロジェクト新百合ケ丘20120311にご参加くださった皆様、巣鴨教会に関わる皆様
主催:キノコチケット/木野彩子


ごあいさつ

本日は巣鴨教会パフォーマンス「からたちから」にようこそお越し下さいました。
昨年6月に「からたち」を制作して1年半、少しずつ教会に通い、キリスト教について考えてきました。1年以上がたった今でもたくさんの疑問をもっており、牧師さんや信者の皆さんにあたたかく見守られながら、作り直す作業を行ってきました。
私は今でもキリスト教信者ではありませんが、多くの人が教会を通してつながり関わりあい、2000年という長い時間を経て続いているからには、その時代そのときに「何か」はおきたはずだと考えます。それを探求し研究しつづけているこの教会の人々の姿勢はとても真摯であり美しいと思っています。
また、合唱団の皆さんの練習に参加させていただきながら、一つ一つの音を丁寧に作り上げ、重ね上げていく過程はまさしくキリスト教の信仰と研究の歴史とともにあり、音楽と宗教が密接に結びついていることを思いました。
ダンスと一言でいっても様々な作品がありますが、この作品(このシリーズ)は私にとっては自分と向かい合うことであり、すべてを受け入れていく作業です。
昨年は「光が広まっていく」ことをイメージしました。
今年は「光は収束していく」ことをイメージしました。
友人に指摘されて気がついたのですが大学時代卒業公演のためにつくった作品は真っ暗な中を外の月明かりだけで踊るものでした。(その作品は日の目をみることはありませんでした)そのときに既にこのシーンが出来上がっていたのだということに気がつきました。
15年以上がたち、母校のそばの巣鴨教会にて、やっと上演できるようになったこと、それもまた幸せなことです。

光がなくなっても生きていくために宗教は生まれ、神という存在がある。
そして神は既にそれぞれの人の中にある。
ダンスですべてを語ることはできません。私もまた、これからも学び考えて続けていくのではないかと思います。

みんながめいめいじぶんの神さまがほんたうの神さまだといふだらう。
けれどもお互ほかの神さまを信ずる人たちのしたことでも涙がこぼれるだろう。
宮澤賢治「銀河鉄道の夜」より

ごゆっくりお楽しみください。

                                                                          



1 巣鴨教会とは
巣鴨教会は1876年設立の歴史ある教会。プロテスタント改革長老派(カルヴァンをルーツとし、聖書の学びを重視する伝統が特徴)。礼拝堂の椅子は第二次大戦後から使われている。1階ホールはかつて幼稚園として使われていたが、園児数の減少とともに園は閉鎖されて、現在はコールシャンティはじめとして10以上の合唱団の練習などに活用されている。
巣鴨教会の前身の「自営館」時代に山田耕筰が入館し、そのときの思い出を元に「からたちの花」(作詞北原白秋)が創られたことに基づき、教会敷地内に「からたちの花」の碑がある。なお、その碑のまわりのからたちは北原白秋記念館よりいただいた種が実ったもの。


2 「からたち」とは
2012年北池袋の小劇場Atelier Sentioが主催するフェスティバルSentivalの一環として木野が発表、好評を得た。自分の人生と巣鴨教会の歴史を重ね合わせながら語り踊る、演劇要素を含む作品。すべての人生は星のようにきらめいている。東日本大震災をうけて作成したボディワークと語りのワークショップAmanogawa プロジェクトの参加者を巻き込み、ろうそくの光を効果的に用いてキリスト教の伝搬を構成した。


3 コールシャンティ混声合唱団
1963年創団、巣鴨教会を拠点に活動する混声合唱団。指揮者、指導は野本明裕氏。団のライフワークとしてTomas Luis de Victoriaのミサ曲、モテットを手がける他、一般への合唱普及を目指し、日本語の歌曲も多く扱う。合唱は身体の裏付けが必須であるという考えから縄跳びや体操などのボディワークを取り入れている。毎年巣鴨教会のクリスマスキャンドルサービスにて合唱を行っている(今年は1223日)。
合唱曲
山田耕筰作曲、北原白秋作詞“からたちの花”
ビクトリア“Missa Quarti Toni(第4施法のミサ曲)”よりキリエ
主よあわれみたまえ、
キリストよあわれみたまえ、
主よあわれみたまえ


4 Amanogawa プロジェクトと東日本大震災について
Amanogawa プロジェクトは川崎市アートセンターで東日本大震災から1年を経て制作した映像作品(https://sites.google.com/site/amanogawaproject/)。ボディワークと語り合いを繰り返した記録(映像、写真、テキスト)であり、前回の「からたち」ではそれを舞台上に再現しました。
今回コールシャンティ混声合唱団に参加していただくにあたり、いつかは旅立っていかねばならない人間のイメージを重視し短くまとめることにしました。


5 J.S. Bach “前奏曲とフーガBWV543”よりフーガ
昨年の「からたち」カーテンコールの候補曲として渡辺牧師にご紹介いただいた曲。実際に使用はされませんでしたが、その場で即興的に踊ったダンスはおそらく木野即興史上最高ともいう出来でした。渡辺牧師によれば、その昔東池袋で舞踏家大野一雄さんの舞台で演奏をした曲とのこと。なお、「からたち」初演日は大野一雄さんの三回忌でもありました。


6 みんないなくなってしまいました
コレヘトの言葉1章2−7、9より
コヘレトは言う。なんという空しさ
なんという空しさ、すべては空しい。
太陽の下、人は労苦するが、すべての労苦も何になろう。
一代過ぎればまた一代が起こり永遠にたえるのは大地。
日は昇り、日は沈み あえぎ戻り、また昇る。
風は南に向かい北へ巡り、
めぐり巡って吹き風はただ巡りつつ、吹き続ける。
川はみな海に注ぐが海は満ちることはなく
どの川も繰り返しその道程を流れる。

かつてあったことは、これからもあり
かつて起こったことは、これからも起こる。
太陽の下、新しいものは何ひとつない。




7 Angel’s bone
2007年に The place (ロンドン)で制作•発表した5分間の作品(Touch woodという企画の一部)。曲は“ゴルドベルク変奏曲”よりアリア(演奏Glenn Gould 1981)。実際の作品では肩甲骨の動きを見せるべく身体の向きは横向きで演じています。


8 はじめに言(ことば)があった
ヨハネ福音書1章1−5より
初めに言があった。
言は神とともにあった。言は神であった。
この言は初めに神と共にあった。万物は言によって成った。
成ったもので、言によらずに成ったものは何一つなかった。
言のうちに命があった。
命は人間を照らす光であった。
光は暗闇の中輝いている。
暗闇は光を理解しなかった。


9 わたくしという現象
          宮沢賢治「春と修羅 序」より(抜粋)
わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといつしよに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の
ひとつの青い照明です
(ひかりはたもち その電燈は失はれ)


10 “からたちの花”
山田耕筰作曲、北原白秋作詞。巣鴨教会は山田耕筰ゆかりの教会として知られ、教会前に記念碑がある。
     からたちの花が咲いたよ

白い白い花が咲いたよ

からたちのとげはいたいよ

靑い靑い針のとげだよ

からたちは畑の垣根よ

いつもいつもとほる道だよ

からたちも秋はみのるよ

まろいまろい金のたまだよ

からたちのそばで泣いたよ

みんなみんなやさしかつたよ

からたちの花が咲いたよ

白い白い花が咲いたよ







追記:コールシャンティさんの参加する巣鴨教会クリスマスキャンドルサービスは12月23日4時半よりだそうです。なお、22日の礼拝がクリスマス礼拝なのだそうです。
コールシャンティ:http://shantey.net
巣鴨教会:http://www.sugamo-church.com