「タカセの夢」は10人の子供たちとニヤカムさんにスポットがあたってしまうが、実は大人たちもがんばっている。振り付けアシスタントとしてはスタッフワークもお手伝い。(でも専門的なことはわからなかったり、できないことも多いので、お役に立てているのかは疑問)普段子供たちのリハーサルが終わったあと、ニヤカムさんからのテクノーツ(テクニカルに関するコメント、変えてほしいところなど)があり、小休憩をとり、その後大人時間に入ります。大人時間、エンドレスゲームです。
SPACは全国で唯一の専属劇団をもつ劇場ですが、スタッフも数多く抱えています。そして公演数が多いため、いくつかの演目を掛け持ちしつつ、皆さん働いており、本当に忙しい。でも多くの現場を経験し、舞台人として成長できる場ともいえます。タカセスタッフは若い人が多く、ニヤカムウォーミングアップをみんなで行う(およそ1時間動きっぱなし)元気な職場です。
舞台:舞台セット全般に関するものの他、タカセの中ではブランコ、さくらなどのつりものを扱ったり、桜ガールズのマットをお洗濯なども行います。ペンキ塗りから、スティックの養生テープはり(あまりに強く棒をたたくと折れてしまうので、その予防。ちなみに今年は二本タカセがおりました)まで、幅広い仕事内容で、手先が器用でないとできないと思いました。桜の花のセッティングは音響の原田さんの方がうまい様子。
音響:そもそも楕円堂でリハが始まった初期の頃、バオバブの奥にスピーカーをつり上げるという所からスタート。こだわりの音響さん。ニヤカムさんのコメントも「コーラスはベルサイユ宮殿の中でオーケストラと鳴り響いている感じでそこから外の中庭へ躍り出てくるような感じで音が広がる」というような難しいコメントでちょっと困ったに違いない。ニヤカムさんも絶賛、信頼を寄せています。
照明:子供たちの動きにあわせてフォーカスを訂正するなど、微妙に毎日調整を繰り返し続ける二人。今年は映像が大変だったので、そっちに時間をかけざるをえない中、「コメントを言っている隙に照明を直す」技を使いこなす手際の良さ。
映像:プロジェクターがらみで問題発生しすぎて、最も苦労したセクション。昨年も大変でしたが、3つのプロジェクターを一つにつなぐってなかなかできることではありません。(しかも別々の機種)でも、ニヤカムさん的には来年に向けて既にいくつかの映像がらみのアイデアが出されており、来年はもっともっと大変になるのではないかと。。。
衣装:シーン1から4まで各シーンごとに衣装があるため全員で50着以上。しかもマントや上下わかれる服などアイテム数は倍。終了後はひたすら洗濯に追われます。(BOXシアターの下に大きな洗濯機と乾燥機があり、それも使えるが、タカセの衣装のほとんどは手洗い指定なので、かなり重労働、そして時間がかかる。9月2日は夜中の1時ごろまで。)楽屋で最も子供たちのそばにいる存在。
衣装をデザインしてくれた竹田さんのご両親も作品を見に来てくださいました。アーティストの作品にはその人が生き続けるんだとニヤカムさん。
制作:舞台の宣伝広報活動の他、子供たちのスケジュールの管理や送り迎えなどを行う。ニヤカムさんをスーパーに連れて行くのもお仕事に。幅広く、実は結構忙しい。そして必ず最後まで芸術公園に残っていて、その日の最後に明日の予定を全員(SPAC関係者)にメールで送る。
3年経って一番はじめからいるのは私と制作の大保さん、照明デザインの樋口さんのみであることに気がつきました。これまで関わってくれていたスタッフの皆さんも見に来てくださったり、応援してくださっています。大人たちもタカセの夢からエネルギーをもらっているのですね。
劇団SPACは単に役者集団なだけではなく、舞台芸術専門集団であるのだというあたりまえのことにちょっと感動しました。
おまけ:照明樋口さんの言葉
他の人が気がつけないところに気がつくことができる、それが専門だ。その人にしかわからない、だから他の人が変わることはできないし、その人がする意味がある。それぞれの部署につく人が一人しかいない。だから大変だとは思うけれど、それが専門というものだ。
これ以上はできませんと言ってしまうことはもったいない。いままでやってきていないわけではないのはみんな知っているし、実際もう限界かもしれないが、それでもその先を追求し続ける姿勢が大切ではないか。可能性を自分で閉じてしまってはいけない。
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