2013年2月22日金曜日

現代舞踊協会について

現代舞踊協会のシンポジウム「ダンスと教育」をみにいった。ワークショップを行った伊藤キムさんの話し(現代舞踊協会に対する疑問の投げかけ)はとても興味深く面白くきかせていただいた。その後彼のブログにスロヴェニアのダンサーさん福原さんがきのブログを紹介し、木野ブログの一部(画面右ラベルのところにあるダンスを教えるということの②をご覧下さい。過去ブログを探すのが面倒くさいという言葉にお応えしてラベルを設定しました。)だけのアクセス数が急激に(結構凄まじく)増加した。伊藤キムさんのブログ上にて若いダンサーさん(私ではない)の批判的文章が展開されていることもあり、気にかかったことをのせたいと思います。伊藤キムさんのブログhttp://blog.kimitoh.com/

なお、私自身は現代舞踊協会員ではありますが、現代舞踊協会員としてうけた恩恵はほとんどありません。牧野京子の作品を踊るために制度上加入しなければならなかっただけで、コンクールで評価されたことも、推薦なども受けたことはありません。また、文化庁在外派遣研修員制度も当時すんでいた東京都から出しており、(現代舞踊協会に入っている必要は必ずしもありません。最寄りの都道府県の生活文化局に問い合わせてください。)現代舞踊協会の会報などにも無視されたままでした。
昨年現代舞踊協会主催の公演で作品を発表していますがこれは文化庁の在外派遣の報告でもあり、協会員ゆえの依頼ではありません。


①現代舞踊協会はあくまで個人の集まりでしかないこと
確か正田先生のことばだと思います。
あくまで個人の集まりでありなんとなく「現舞系」と固められるのが嫌だというのは加藤みやこさんの言葉。集団として何かというのもではなく、固めて論ずることはできないと思います。
若いダンサーに指導する立場ではないし、そのダンサーがどのように感じるか、考えるかはその人によります。深く思索できる人材を推薦できなかった責任は問うことができるかもしれませんが、それはどのような人材に成長するかを賭けるようなもので協会の責任ではないと思います。
あくまで芸術家は各個人です。
それぞれの作家の自立性を考えれば、若い振付家の提言は幼くとも、そういう意見もあるとおいておくことができるのではないでしょうか。


②ダンスの社会性について
ダンスの社会性についても各作家によって取り組み方がかなりかわります。
コメンテーターであった加藤みや子さん(http://www.as-factory.jp/cn11/index.html)のように大学、自身の稽古場で指導に励みながら、作品を創り続ける方もいます。質問などにも答えていた妻木律子さん(http://www.beoff.org/)は地元の宇都宮でスタジオを構え若手を支援しながら活動しています。世代年代により社会に対してできることも変化していきます。
40代の人の感じ考えることと20代のことが感じられることは異なります。特に海外にいて「浦島太郎」になっていたわけで仕方ないと私は思います。

③現代舞踊協会にいて
海外から帰ってきて3年が経ちますが、結局各個人が動く他なく、現代舞踊協会に助けられるとは思っていません。むしろその枠を飛び越えて勝手に動くことの方が大事だと私は思っており、勝手に企画し勝手に踊ることにしています。
「各自が爆弾になって」(加藤みや子さんの言葉)そのとおりだと思います。
問題は私たちの世代あるいはもう一回り若い世代の活動でコンペティションに出すのに先生にチェックしてもらわねばならないと思っていたり、先生の舞台に出るだけで満足していて、自分たちの新しい世界を作り出すことに挑戦できていなかったり、自分の仕事を自分で作り出すことができていなかったりする甘えている所ではないでしょうか。
60年代、70年代のダンス業界はもっといろんなことがおきていたようです。ということを私は私の師などからききます。しかしそれと同じあるいはそれを超えるワクワクドキドキを私たちは作り出せているだろうかと私は思います。
従ってキムさんのクエスチョンは現代舞踊協会の先生方ではなく、私、あるいはもっと若い世代に向けられるものであるし、協会に向かうべきものではありません。

④自分なりに道を切り開くこと
帰国する際自身の教育歴を生かしてワークショップなどをひらきながらやって行けるだろうと思っていたら、世の中そんなに甘くありませんでした。(でもちゃんといきのびていますよ!)海外へ出る前からチケットノルマのある形での公演をほとんどしていなかったこと、依頼を受けて作品制作をできる状況にあったこと、海外でも依頼をうけて(金銭的サポートをうけて)活動できるようになっていたことから、自身でチケットをさばいて、借金を背負ってという形態に疑問を抱いていました。どのようにしたら続けられる経済活動になりうるだろう?あるいは収入源の確保を別にする方法を考えてみよう、社会とのつながりを考えてみようなどと考えました。
これはラッセルカンパニーが教育事業を行わなかったことから生き延びられなかったということも影響していますが、私自身が社会とつながりたかったからというのがあります。
これらより①学校教育やコミュニティダンスなど一般の方へとダンスを伝えるということ。②一般の方へとダンスを広めるべく異ジャンルとのコラボレーションを増やすこと。③同様に劇場外でのパフォーマンス機会を増やすこと。(低予算での開催が可能、例として巣鴨教会、札幌資料館など)④基本的にきた依頼を断らずいろんなことにチャレンジしてみること。
などがあり、それで収益があがるかはともかく、なんとか生き延びています。
助成金が少ない日本では「自立」がかなり重要な問題になります。しかし思うのはダンスを知らない人は多いということです。自分が自立をしつつ、自由に活動しながら、一般の人へとダンスを広める。私はそんなことを思いました。




劇場法ができ、劇場が若いアーティストを支援する、地域コミュニティを創ろうとするという時代の流れがおきてきました。「現代舞踊協会」が何かをしてくれるのを待っている時間はなく、それぞれが地域へと「自分の能力」で還元していくべき時ともいえます。だって私たちは今を生きているのだもの。しかしそれをするしないは各個人の自由で、「大野一雄型60歳デビュー」でもいいとおもいます。あくまで自分の力で道をきりひらくこと、ただそれだけのことです。


残念ながら私は教育の現場に立っていません。(一般大学生向けの身体表現、幼児体育をのぞく)実績がないからといわれて落ち込んだりもしました。
ほんとに貧しかったこともあり、俗にいうノルマのある舞台も踏めませんでした。
でも、踊るというのはそんなことではない。
道は勝手に切り開けばいい。

現代舞踊協会も昔はそんな勢いがあったはずです。
今では大先生方がそろっていて、いくらでもお客さんが集まるのかもしれませんが。多くの先生方からそういう熱さを感じます。
キムさんもそれをわかっていて投げかけているのかもしれないけれど、誤解されるような言い方があったことは事実です。



現代舞踊協会とコンテンポラリーダンスの間の境はなにか?
という質問については先日山崎広太さんのワークショップ後の話し合いでも出てきました。ポストモダン、モダンとの境は?など。
そんな境を気にする前に
木野にしかできない木野によるダンスをおどればいい。
そんな境を飛び越えてはじめてつぎのフェイズにいける、そんなことを思います。





11 件のコメント:

  1. 木野さん、私は木野さんと現代舞踊協会との関係をまったく知らず、結構無邪気にリンクしてしまいました。ご迷惑をかけたなら、お詫びいたします。木野さんはくだんのシンポジウムに参加していらっしゃったのですね。

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  2. Ryuzoさん
    迷惑はかかっていません。ありがとうございます。
    ただ、キムさんブログにコメントをあげる気にもなれず、自分のところで書きました。

    現代舞踊協会ではないですが、文化庁在外派遣で海外へわたった身、その後海外でダンサー経験を積んだ身としては何となく「売られたけんか」なようなきがして自分のことを書きました。
    本人に直接話すというのではなく、あとからブログでかくというのはどうなのかなと思ったせいもあります。特に若いダンサーさんにとってかなりショックではないかと。
    (でもキムさんはおそらくそういうショックを与えることも確信犯なのでしょうが)
    ブログやFacebookは気をつけて書かねばいけないなと改めて思いました。
    シンポジウムでどんな発言があったのかなどあまり出ていないので、わかりづらいのだと思います。今回私は感情的に自分の立場から書きましたが、現代舞踊協会については再び書かねばならないと思います。





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  3. 組織と深く関わることを避け、常にある意味部外者として活動してきた私にとっては想像はできるけれども、実感できない不快感のようなものはあるんでしょうね。言い換えればその不快感を正面から受け止め当事者として変革に乗り出すか、組織の不快感が漂って来た時点でただ距離を置くか、というような。
    しかしながら一人のダンサーが私の目の前で、同じようなことを訴えたとしたら、私も何か言いたくなるだろうなあ。だからこそ私も伊藤さんのブログに書き込んだわけで。
    最近は、ダンサー且つ振付家としてスロベニアの政府に対するプロテストに参加したりして、いろいろ考えることしきりです。

    「ひとりでやっていても何も変えられないが、一人でも始めなけれなにも変わらない」

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  4. Ryuzoさん
    一人でもはじめなければ何も変わらない
    いい言葉です。

    各個人が行動を起こしていくことが大切だと思います。

    私もあくまで部外者です。
    特定個人への中傷、あるいは集団に対して勝手なイメージを持って断言してしまうということはしない方がいいのではないかと感じました。何となく感じた不快感から上の文章を書きました。そういう点ではRyuzoさんと同じような立場です。(シンポジウムに参加している分内容把握ができるのですが)
    所属団体だからとか、その若いダンサーさんを知っているから思ったことではありません。(知っていますけれどね)

    話しは変わりますがスロベニアの国事情はおそらく日本ではあまり知られていません。何かの機会にそんな話しもお伺いしてみたいです。

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  5. このコメントは投稿者によって削除されました。

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  6. まあブログで批判して、コメント欄で熱く語ろうというのも、なんとも迂遠なやり方ですね、私にように日本にない人間は参加が楽ですけれども。いずれにしても木野さんが先のブログに書かれたように、すでに社会にダンスは存在しているし、存在している以上社会との関連を考えていくべきだと思います。スロベニアでは現政府に対するプロテストが毎週のように行われています。2週間前の集会+パレードには2万5千人もの人が参加しました(人口200万の国では大変な数字です)。私も振付家・ダンサーとして「ダンシング・プロテスト」を試みました。詳細はこちら(英語)http://ryuzofukuhara.blogspot.com/2013/02/tools-for-improvisation.html

    私の周辺には文化・アートがどのようにプロテストしていけるかを試みているグループあって、彼らと連携して「Protestival」というのをやっています。

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  7. Ryuzoさん
    スロヴェニア情報をありがとうございます。
    まさしく社会とつながる一つの方法ですね。

    前にアジアのダンスについて語られている中で多くのアジアのダンスシーンが社会問題(貧困、民族問題など)から派生しているが、日本ではそれが強くないという発言がありました。(もちろん日本にも社会問題は山積みなのですが、アジア諸国のそれと比べると生命の危機意識が薄いのでしょう)今の日本では「必死で訴えねばならないこと」自体が減っているというのを思い出しました。
    ありがとうございます。

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  8. こんにちは!
    とても共感しました!
    Facebookでキムさんの話を見て、まず心配したのは指摘された本人です。そしてブログタイトル

    現在、現代舞踊協会を検索するとキムさんの記事も見えています。その少し下にここの踊子日記が表示されていたので、やってきました。

    キムさんのことは尊敬しているし、指摘の点は正論かもしれませんが、直接本人に伝えれば済むことであり、協会をくくりにすることも違うかな?と思います。

    木野さまの言葉で、同じように感じる方がいらして、ほっとしました。そして他力本願ではなく、自ら興さなければ何も起こらない。本当にそう思います!

    応援しております!私も頑張ります!(*^^*)

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  9. 匿名の方へ

    こんにちは
    コメントをありがとうございます。
    匿名ということでどういう関係の方かわかりかねるのとFacebookでどのようにこの話しが展開しているのかわからないのですが、
    一応フォローしておくと
    私はシンポジウムに行き、その中でのキムさんの発言はとても興味深く、いい意味で影響が大きかったと思っています。(ブログにも書いています)決して否定しているわけではありません。またこれらの話し合いはシンポジウム、ブログの両方をみないと、わからないことだと思います。匿名さんがどのように参加していらっしゃったのかはわかりませんが、現代舞踊協会内部の方ではなさそうなのと、この中にある本当の「意味」を感じていればここにコメントをかくよりも先に行動が始まっていくのではないだろうかと感じました。
    おそらくうだうだやっているよりも、前に一歩進みだすべきでしょう。
    たくましく。
    がんばってくださいね。


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  10. こんにちは!お返事ありがとうございます。こうしたブログにメッセージを書き込むのは初めてで、説明不足本当に申し訳ありません。不快な思いをさせてしまったようですね…(;_;)

    実は私も舞踊に携わる者です。公演活動と指導をしています。いつも手探りで社会に貢献出来ているのか自問自答しながら過ごしています。私も日本の現状に希望を言うよりも自らがその中でどうやって生きていくかを見つけ出すしかないと思っています。

    キムさんのシンポジウムには参加していないので、木野さまの仰るように、こちらで私がコメントするのは場違いだし、資格もないことでした。前コメント撤回させて下さい。すみませんでした。

    知り合いのFacebook上にキムさんのブログをリンクした人がいいね!ボタンを押していたので、辿ってきた情報での前コメントです。

    今はキムさんに感謝します。良い起爆剤でした。

    キムさんのブログや、木野さんのブログ、内容の深い文章と出会うきっかけとなりました。深く考えさせられます。舞踊に携わる人たち、特にこれから舞踊に携わろうとする人にも是非見てもらいたいと思います。

    最初のコメントでは、正直、木野さまがどのような活動をされているのかもわかっていませんでした。まだ全部を拝見出来ていませんが、とてもとても勉強になります。

    舞踊に対する真剣な考え方や思い、そして現実との在り方、こうして記録を残されていること、宝物です。

    そして、いろんな考え方があり、なかなかそうした本音を話せる環境にいなかった為、目から鱗です。ありがとうございます。m(__)m

    とても良い気付きとなりました。

    お身体くれぐれも大切に
    ますますのご活躍期待しております。

    匿名での記入お許し下さい。






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  11. コメント遅くなりました。
    匿名さんもがんばってくださいね。
    狭い舞踊業界ですので、いつかまたどこかで。
    ご活躍をお祈りしております。

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