2012年1月18日水曜日

コンテンポラリーダンスをみて不快感を感じた知人への手紙

先日コンテンポラリーダンスがよくわからない!虫酸が走る!どうしたらいい??という意見を受けて書いたお手紙です。差し障りのない範囲で短くしてのせてみます。

さて、
これはとても重要な問題です。
演劇もダンスもなんのためにつくるのでしょうか。
また観客は何を求めてくるのでしょうか。
そして何をよいといえるのでしょうか。


見方は様々で不快感を感じる人がいることはありえなくはありません。もしかしたら不快感を起こしたくてしている可能性まであります。ただ、そこから何を感じ何を考えるかというのも大事なポイントで、「  」さんはなんでこんなに不快なのかいろいろ考えたので、これはこれでみた意味があるとおもうのです。

私は基本的に芸術とはつくりたいと思ったからつくる、できてしまうものだと思います。しかしながら人に見せる上で、推敲に推敲を重ねたものにすべきであって、中途半端なことなら他の人でもできるし、しなくてもいい。その人にしかできないものをきちんと作り上げることが必要だと考えています。
おもしろい/おもしろくないは観客がかんじるものですが、本当にきちんとつくってあるものはいやがおうにも何かをのこします。そこで感じたことを振付家に返す、また練り上げていくというコミュニケーションのような作業だと思っています。
ピカソの絵もへんだと否定をされた、しかしつくらざるをえないものだった、そして遺された膨大な絵画は、時代を経て評価されるようになった。ダンスは消えていってしまうものなので、観客の感覚にゆだねられてしまいます。でもだからこそ、そのときに立ち会い、共有した感覚をえられることはすばらしいことだとおもいます。

が、ぶっちゃけ(すみません)そんなにすばらしいパフォーマンスばかりではないです。10個みて1個あたるかどうかです。でもその瞬間に立ち会うために観客は足を運び、踊り手は必死でつくる。観客と作り手が一緒につくっていくものなのです。
よいパフォーマンスだけみたいというのであればおそらくクラシックバレエや能にかないません。歴史を重ね推敲を続けてきているのです。でも今の時代にそくしたなにかがつくれるのではないかと思っている気違い(といわれることもある)が何人かいるという感じです。


コミュニティダンス部のひろくん、ちひろさんとの即興をみて何かを感じたというのであれば、多分その何かみたいなのがあることはわかりますよね。でもそれは即興であって、それを作品にしていくのはとても難しい。(難しいのか?という疑問もあります)その試行錯誤をしているわけですが、なかなかうまくいかないものです。

人によっては目立たせようとか、こういうテーマでとか考えすぎて、あるいみわかりやすくしすぎて「私こんなにつらいんです!」という感じになってしまったり、奇をてらいすぎたりしていることがあります。実際ヨーロッパでも90年代は特にいかに衝撃を与えるかという自虐的ともとれる激しい動きが多かったのです。

が、現在、この今を生きる上で何が必要かを考えたときに私はもっと繊細でやさしいものではないかという気がしています。もしくは純粋なエネルギー体。
それを作り出すにはからだの作り方から、思想から考え直す必要があります。が、そのようにかんがえるひとはまだ少ないのかもしれません。

一般のひとと関わってつくる作業をはじめ特にそんなことを思います。
静岡のアフリカンダンスのお仕事もそんなことを思いました。

世界には本当にいろいろな表現があります。
私の作品にもロッカーの中からでそうででない作品(劇場では15分、美術館では60分のパフォーマンス)がありますし、
生肉体中にはっていくひと、かにもって振り回すひと、舞台上で火を燃やし始めるひと、天井から吊るされて死にかけたひと、毎日一回首つりをしているひとなど様々です。
いろんなひとがいて、そういういろんな生き方がこの世界にあるということを楽しむ、あるいはそこから自分の生き方について考える視点というのもあってよいのではないでしょうか。

それらもみつつ、でも私はこういうかんじがいいとおもうと出していければよいのでは、と思います。
ただ、もし教え子にそういうかわった子が現れたとしてもそれはそれで認めてあげれたらと思います。拒絶ではなく、共存というのでしょうか。

先生の力は正直大きく、
しかし先生の力を超える可能性をこどもたちは持っているということを私は大事に考えています。
こどもたちの方向をそれぞれのばす、
最も難しい作業だと思いますが、可能性のある、とても楽しい作業だと思います。


踊りの世界は奥が深いですね。
よいダンスはジャンルを超えてなにか感じるものがあるので、コンテンポラリーにこだわらず、とにかくいろんなものをみてみてください。


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