2019年4月15日月曜日

芸術文化活動の継続のための経済性

銀河鉄道祭実行委員会とtottoの2周年記念パーティが連続であり、ついでに羽鳥嘉郎さんの出版記念トーク会(同僚の企画)も間にあって行ってきました。tottoの会は豊岡劇場の石橋さんのトーク付き。芸術文化活動の継続のための経済性について考えさせられる会でした。

現在tottoでは500円から始められるファウンディングを行なっていますが、ライターへの謝金などはなく、基本的に皆のボランタリーでの活動を行なっています。広告なども入れていないので、純粋なサイトの運営資金や交通費などの経費を集めようとしています。ボランタリーな活動だからこそ動く人の流れもあり、それは銀河鉄道祭でリサーチ対象としていたスペースの会(鳥取のミニコミ誌)とほぼ同じ考え方だと捉えています。自分たちがしたいことを自分たちで守るためにやっていく。今回の会場となっていた樗谿グランドアパートもそうですが、守ろうとする人たちの思いで回っているところがある。

しかしそれだけではなかなか回っていかないということで豊岡劇場はビジネスとして捉え、活発に活動を起こそうとしているし、羽鳥さんのように本を販売したり、イベントを開催していくこともおこる。お金を取る分それに見合う価値を作るということ。

銀河鉄道祭は公的な事業なので、結構な金額が動いています。それをちゃんと適正に使用していく必要があるし、できるだけ多くの人に情報を共有してもらい、享受してもらう必要がある。個人でやっているような小さな活動を紹介しながら繋ぎながら進んでいるけれども、一方で小さな活動をブルドーザーでつぶしかねない行為になってしまうとも思うのでした。
私自身は元々収入と支出の割合を鑑みて劇場以外での公演をはじめ、助成金に頼らない方法を模索してきました。たまたま建国体操が引っかかったけれど、自分の手で全部やる、Mobius(鳥取で初めて作った作品)まではチラシまで自力で作っていたし、照明も音も全てオンオペ(踊っているのに)という作品がいくつかあります。作りたいときに作るべきところと作るべき場所でやってきているので、結構いい作品もあると思っています。先日とあるところで批評などしている人と話をしていて、そういう(木野の個人的な制作)活動はなかったことになってるんだなと思いました。助成金取れてるか取れてないかで判断されちゃうし、どうしても広告規模から何から全然違うものになってしまう。
何を持って判断しうるのだろうと思うと考えてしまいます。

必要な人に必要なものを届けるというシンプルなことなのですが、経済効果ではおそらく最も効率が悪いと考えられる舞台芸術。良いとか悪いとかよくわからなくなってきたときに羽鳥さんの本(80年代の演劇について、しかもテントでも商業系でもない範囲のみ扱っている)が宿題のように残され、再び純粋な運動だった頃が見えてきたのでした。(上に記述したスペースも70年代から80年代なのでほぼ同じ時代設定)


岸井さんと終わったあとに近況を話したら、銀河鉄道、折口、建国体操ヲオドッテミタ(木野の発想順)はいずれもほぼ同時期かつ共通項が見られると。そういえば昨年のテーマは恋と革命、トークの中でも語られていたキーワードで、何かが起きる予感のようなものが現れているのかもしれません。
(ちなみに今年のテーマは“何もない”です)

このトークの前日同僚の社会学者さんに「演劇とダンスの違いは何か」という質問をされました。で、トークを聞く前にダンスも様々で舞台芸術となったときに観客という他者が発生し、ある種の集団性が生まれる。その集団性と踊りそのものの持っている個人的なある種の信仰や修行に近い部分は実は異なる。集団性のあるダンスは演劇のそれとあまり変わらないという答えをしました。演出というか見せるという概念の説明をし、死者の書でやっていることはそこではないことを見出してくれていてちょっと嬉しく思いました。
集団性、つまり社会性みたいなものは羽鳥さんの本でも冒頭から触れられています。なにせタイトルが「集まると使える」だから。
なお、このトークの中ではポストモダンが成立していない演劇ということが触れられて、もう一個違いを発見しました。
それはなぜ私はダンスなのかということでもあり、あえてダンスにどうみてもみえないところまできているけれど、ダンスであると信じることでダンスの新しい概念を拡張してきた自分にとって改めて演劇とは何か、ダンスとは何かを考えるきっかけになっています。
今から1年くらい前にはこんなことを書いてました。(多分演劇人と語って論破されるのが悔しくて文章化しようとしたんだと思われます)
https://saikino.blogspot.com/2018/07/blog-post_26.html
私はおそらく身体の人でありたいんじゃないかと最近思います。

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