2009年11月23日月曜日

佐世保について

佐世保にて。
町中をうろうろ歩きながら、えらい寒い中、朝市にもいって、天ぷら(長崎ではさつま揚げみたいなものを天ぷらという)を食べつつ。
打ち上げのときに皆若い人が多い(なお、観客は長崎から来た学生さんが多かった)といったけれど、そんなことはない。町中でであったのはおじいちゃん、おばあちゃんばかり。あさの9時前なのに異様におばあちゃんの集合しているところがあってみてみたら、なんだかというマッサージ機があるお店。みんなでおしゃべりしながらまっているのだそうだ。お店があくまで。寒いのに。
大きな商店街(1本道でその長さは日本一なのだそうだ)がある脇に、小さな商店街があってどのお店も一坪サイズ。そのお店の働いている人はみんな結構年齢がいっていて、ほそぼそと商いをしている様子。朝市も小さなお店が並んでいて、観光局の人にはみんな車で別のとこに買いにいっちゃうからねー、ここの朝市はいまひとつなんだわーといわれてしまったけれど、ちゃんとがんばっている人たちもいる。
たくさん町中にお年寄りを見た。確実に多いと思う。他の都市に比べても。

佐世保のワークショップに参加していた子から「作品を作りたいという気がしないんです」「どうしたらいいでしょうか」という質問を受けた。
それはそもそもなぜあなたは踊るのかという質問に似ている。
作りたいと思わないなんて、なんと幸せだろうか。
私なりに作るべきときがきたときに作ればいいんじゃない?と答えた気がする。
私の作品についていろいろ話し(私の場合は実生活とかなりリンクしているのでとてもわかりやすい)、踊ることで昇華(消化)しなければいけなかったいろんなことがあったことを思い出した。作らないですむということはそれだけいまが満たされているということだから、その今の生活を大切にしていけばいい。

今回の作品は私小説ダンスと水野さん(JCDN)に名付けられている。なんだかよくわからないけれど、いろんなことを思い出すのだそうだ。ポイントは私のを想像するのではなく、自身におこってきたいろんなことをそれぞれの人が思い出すということらしい。涙を流す人が多くいて、私自身も驚いている。お涙ちょうだいにならないよう気をつけているつもりだが、おこってしまったことは仕方ない。
たんたんと自分の道のりを説明しながら、私もいろんなことを思い出す。かならず眠れなくなり、たくさん泣いて、考えて、それがこの作品なのだと思う。踊る稽古はほとんどしていない。というか稽古は必要ない。むしろ稽古をしてはいけない作品。
10年くらい経って、またそのあとの分が付け足して発表できるのではないかと思って楽しみにしている。もしかしたら次は10年どころか30年後とかになるのかもしれない。そしたら文字通りグールドさんのゴールドベルグのようにめぐりめぐってこの曲に戻るということなのかもしれない。
得るものがあれば失うこともある。何かを失うことで作品は生まれる。花さき山のような話しだ。




4 件のコメント:

  1. はじめまして
    ひょんなことからよくこの日記をみることが多いんですが

    むかし北見に住んでたときに留辺蕊にすんでるおじさんと営業周りに紋別まで行ったときに、そのるべのとっつあんもさつま揚げを「天ぷら」って言ってましたよ。

    思うにお年を召された方はさつま揚げを「天ぷら」って言ってしまうんじゃないでしょうか。(笑)

    おそらく私と同年代の方とお見受けしますが、芸術の分野でいろいろとご活躍されておられるのですね。

    すごくエネルギッシュな、なんかこっちまでパワーを感じるようなそんな日記ですね。

    芸術分野は良くわからないけれど陰ながら応援いたします。頑張ってくださいね。

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  2. こんにちは
    これまたはじめまして。
    そして留辺蕊、なんてマニアックな地名(いや北海道民の私はわかります。)がでてきたことでしょう。
    北海道民の面白いことにはみんな移住してきているので、九州の方かもしれないという可能性(疑惑)はあります。私の祖父母は年を取っていますがいままで天ぷらとはいったことがありません。それにしてもきになります。
    なお、佐世保では比較的若い人も天ぷらというようでした。
    天ぷらについて他の地方の報告を待ちましょう。
    今後ともよろしくおねがいします。

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  3. >天ぷら
    主に西日本、とくに四国と九州では青魚や雑魚の練り物を揚げたもののことを指します。東海地方では「はんぺん」と言います。
    あいにく佐世保というとジャパネットたかたの本社があるところで村上龍の出身地だということしか知りません。

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  4. ええ、たかた社長の家(なのか本社ビルなのか)が佐世保マップにもちゃんとでていました。バーガーのつぎはジャパネット。

    天ぷら論争について解説ありがとうございます。
    あのあと考えていて、きっと薩摩揚げというのは過去の歴史上悔しかったので(薩摩にまけてなるものかというやつです)天ぷらといっていたのではないかと推測していたのですが、そうでしたか。なるほど。

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