2012年6月15日金曜日

Never let me go 予告

「幻想 銀河鉄道」構想中より、宮沢賢治についてかんがえてきました。
銀河鉄道の夜は彼の代表作ですが、その作品は何度も書き直され、未完のままになっていることはあまり知られていません。最愛の妹とし子を失って、書き始めた銀河鉄道ですが、はじめはカンパネルラは死んでいなかったし、すべての旅は博士の実験でした。(筑摩文庫、宮沢賢治全集の中に異稿ものせられています。原稿にナンバーなどがないこともあり、様々に文の置き換えが行われてきました。)10年、病床の中でも書き直してきた過程はまるで、とし子の死を受け入れていく、とし子の生き方、信仰を見つめ直していく旅のようでした。とし子の自省録などもありますが、彼女が本当に何を考えて生きてきたのかは謎のままです。

法華経だった賢治がキリスト教にふれたのもとし子の影響が大きかったと思います。銀河鉄道のシーンのイメージがあったこともあり、巣鴨教会に出会ったとき私はAMANOGAWAはここでやらなければと思ったのでした。

この作品をつくる前から、私は自分の中にいるもう一人の自分をテーマに作品をつくってきました。自分のかたわれとの対話から多くの作品が生まれてきました。ただ、そのもう一人の自分というのもまた自分が作り出したイメージにすぎないということも私は知りました。きちんとみつめおくりださねばなりません。私にとってはまさしく「幻想 銀河鉄道」の代わりにつくった作品です。

3月にAMANOGAWAプロジェクトの副産物として映像での制作を行いました。本来発表するはずであった、踊るはずであったアルテリオで制作したかったのです。
それから3ヶ月がたち、私はもう一歩前にすすまねばならないと思い、後半に新しいシーンを付け加えました。

今回初お披露目、そして今回で最後になることでしょう。賢治のフェスティバルゆえに上演しようと思いました。

「私を離さないで」というタイトルは小説・映画にありますが(カズオ•イシグロ作)特につながりはありません。友人と話していたときにたまたまでてきた言葉です。しずかにみつめ、丁寧に向き合いたいと思っています。


6月17日(日)2時半開演 シアターX



おまけ
巣鴨教会さんの掲示板にあった「隣る人」という映画のチラシにNever let me goの文字が。
(受付を手伝ってくれていた小島さんが発見してくださいました)理由あって家族とともに暮らせない子供たちのくらす児童福祉施設のドキュメンタリーです。こちらも関係はないのですが、あまりにタイムリーだったのでみてしまいました。


0 件のコメント:

コメントを投稿