2019年8月15日木曜日

新野盆踊り

○新野盆踊り
ここ数年、日本に帰ってきてから重点的に見ている地域として愛知県および静岡県の県境、三信遠と呼ばれるエリアで、花祭含めかなり見にいっている。昨年「死者の書再読」で折口信夫を題材にしたが、ここの雪祭りを紹介したのが折口。(花祭と合わせて歩いて回ったという)その話を聞いてきた柳田國男が盆踊りを紹介。この2つの芸能を引き継ぐ新野に初めていってみた。
車があればそんなに大変ではないと思うのだけれど、公共交通機関で行こうと思うと結構不便。飯田線は本数が極端に少ないし(山陰本線どころではない)、その最寄駅湯田からタクシーに乗ると六千円くらいかかる。(でもタクシーのおじさんがコミュニティーバスを教えてくれた。土日祝日はないそうだけれど、今年のお盆はずれていたので使えました。およそ二百円)奥まったその奥にこのおどりは残っている。
地元の伝承館に行っておじさんたちと話をする。親切に色々教えてくれるのだけれど、驚くべきことに「え、盆踊りは行かないよ、家で飲んでる」とかいう。盆踊り伝承館なのに。どうも徹夜だし疲れてしまうのだそう。
盆踊りが始まるのは9時くらいなので、その前にあるというワークショップに伺う。このワークショップを行っているのが、なんとK大学の先生。お話を伺うと、学部時代から通っていて、ここのお祭りが好きで家を建て、半分移住してきているとのこと。お祭りの概略を説明してくれた上で6つのおどりのうち3つを教えてもらう。
郡上、白鳥、新野全てに言えることだが、動きはそんなに難しくはないけれども、それでも説明がなく普通の人がすぐ入るのはちょっと不安もあるだろう。このような試みがあるとおそらく入りやすい。
しかし、おそらく完全に外から来たのは私一人だったのではないだろうか。ともあれ、そこでもまたお話を聞く。
金田さんは折口から名前をもらって信夫と名付けられたそう。そのせいかおどり好きで、と話し、娘さんと一緒にこのおどりを広げる活動を続けている。しかし一方で「郡上みたくはならなくていいなあ」と思っていて、基本的には「昔のものをできるだけそのまま伝えていくということがしたいんだよね」と話してもらう。
先生が言うにはほんの10年15年前は1500人くらいだったのが1000人をきる過疎が進んでいる(鳥取も似たようなものです)。このおどりを覚えてもらうべく小中学校で講習を開き、9時から12時までは地元の中学生たちに歌ってもらうなどの工夫をしているけれども、その中学校も統廃合する可能性があり、阿南町全域の子供達にこの講習をするのかなど色々考えてしまうとのこと。(阿南町と呼ばれるこの地域はかなり広域なんです。他に阿合の念仏踊りと言うやはり重要無形文化財がある地域なのだけれど、足がなく断念。広い、広すぎる)
そんなわけで現在3日間徹夜踊りを行っているけれど「意地だよね」とも言う。
この踊りが先に紹介した白鳥の真逆ではやしを入れないまま、歌の掛け合いだけで展開していくもの。しかもこの句が数百あるパターンから即興的に繰り出されており、その唄い手の誘導を受けて返さねばならず、一見には不可能。子供達も覚えきれないので、子供達の時にはすでに台本のようなものがあり、それをみながら行うと言う。また、唄い手も踊り続ける。つまり結構ハイレベル。
そしてはやしはないのでひたすらゆるい。リズムも時々狂う。でももうOK.
ひたすら揺れる。ゆるゆる。そして9時から6時まで。
今日もまだ続いているはず。

二つの盆踊り、いずれも雨について伺うと、「え、雨?関係ないよ、雨でもやるよ」とのこと。雨降ると燃えるんだよねとも。新野の方は雨宿りしながらだけれども。
台風だろうと何だろうと変わらないのだそう。何が起きても中止になったことはないとも言う(新野)。
新野は雪祭りも見に行かねばならない。



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