「自分が表現したいもののために場所を選ぶのであって、相手(劇場など)の要望をかなえるために作品をつくるのではない」という友人の主張。
ただ、振付家として考えると①自分の夢を実現させるためにする、②依頼主の方針に沿いつつ、自分のやりたいことをする、③依頼主の方針を最優先としてまとめるの3種があり、お仕事として行う上ではこの②と③が重要になってくる、というか②が基本方針になると思っています。
依頼主の想像を少し超えつつ、しかしみんなが納得し、楽しく(?)時を過ごすための場所をつくるというのが私がイベントを企画する際に考えること。
劇場という場所は公演を巡回できるようにつくられた場所でもあり、基本的にどこでもかわらないよう設定されています。巡回することで制作コストを抑え、お客さんを確保するわけで、サーカスだろうと、プロレスだろうと、大相撲だろうとそれは一緒。
でもここでなきゃできない、この場所限定だよねという劇場がいくつかあります。
いくよちゃんの「おたる鳥」を見に行きました。
3時間、長かった。そして盛りだくさんで、とりあえず、10年よくがんばった、おつかれさま、おめでとうと私はいいたい。
でももしできればやっぱりこの作品は静岡舞台芸術公園野外劇場で見るべきものだったと思ったのでした。(初演会場)SPACのスタッフさんからもきいていましたが、このセットも美沙子鳥も舞台奥に漆黒の森が広がるあの空間で見るべきものだったと。最後の客席入れ替えもあの石畳の上で踊ったわけで。毎年あの空間にいますが、(そして滞在中にある公演はできるかぎり見ますし、SPAC演目もかなりみています)あの空間故の作品だったのではないかと私は思いました。
セタパブの天井は青空なのですが、舞台から見ると照明の部屋で青空が隠れてしまって(萬斎さんなんとかしてください!)、それもまた残念だったり。でもきっとこの青空のイメージから観客席入れ替えを行ったのだろうなあと思ったり。
あの調光の窓とか。
セタパブの空間を改めて考えさせられました。
気がつけば私は舞台を見に行くときに空間をかなり見ています。
照明機材がどこにあるか、バトン、客席傾斜、自分が踊る劇場の下見だけではなく、見に行く公演(あるいは場所)すべてでえらくマニアな人になっています。
この場所でしかできないこと。
この場所のための作品、この場所だからできること、そういうものをみつけだすのはとても楽しいこと。きっとそういうことが好きなのでしょうね。
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