鳥の劇場で三島近代能楽集4部作のうち3つをみました。
実は朝からいて大澤真幸さんのトークまで聞く。
むしろこのトークがメインくらい、個人的には重要。
鳥劇さんがこのタイミングで三島を扱うことはとてもタイムリーだし、正直驚く。そして舞台構成的にも死者の書になんとなく近いぞ。複雑な心境はあるけれど、観れてよかった。
個人的には阿部さんのファンでもあり。それも20年越しですから。
大澤さんのトークは昨年発行した著作「三島由紀夫2つの謎」をもとに赤い糸と青い糸と題して三島作品とその死について解釈するというもの。「火と血」「海」の二つの概念を通じて彼の作品を分析していくことで見えてくることもある。が、「豊穣の海」のあのラストはなんなんだ!!という。え、そこ?すごいわかるじゃんと思ってしまう自分が半分。全てを見極め、書き表してそのまま生き続けることって拷問みたいなもので。私レベルですら飛び込みそうになります。だって何もないんだもん。どれだけ積み上げようと全ては無に帰すんです。垣間見ただけでも結構しんどい。
正しくは近代の感覚の中で長く生きたいという思想には向かうはずがない。
現代はさらに。
個人的には先月のトークで出てきたフーコーに重ねて出てきた一神教の場合はそこに存在しない方がむしろ良い。多神教の場合は秘仏などとして隠されていながらも時々現れることが必要だけれどと言っていた言葉が、(その時は天皇制がテーマだったので、摂関政治や院政含め隠れたっま全てを支配する権力構造が出てたのですが)今回美を消すことで成立する美しさと表現しながら、存在しないことによる美について話してくれたことが面白かったです。
ここ数年どのように存在を消していくかしか考えていません。
箱女の時に話していた消滅の美学。
予想以上に東京や千葉、静岡など様々な地域からお越しになっている様子。懐かしい人たちにお会いでき面白かったです。(帰りの電車では3人千葉出身あるいは千葉在住がわかり面白い展開に)長く続けることで生まれるリピーターさんというのもありますよね。10年の重みを感じました。
今回、正直いうと役者の力量みたいなものをすごく感じました。
空気感から作品のレベルまで全然変わってしまう。
今回見た3作品はじつはすでに別物で見ていて、だいたいのあらすじを知っていて見ているのですが、でもそこで引き込まれるかどうかという点で、その役者さんの気合みたいなもので大いに変わってきます。見た人はみんなわかると思う。それが技術の差なのか、人なのか。
私はダメダンサーなりに、そういうのには敏感で、じゃあどこからプロと言えるのだろうかと思ったりしました。
また、アフタートークを見ていて、演出家(中島さん)と役者さんたちの関係性が見えてきました。良くも悪くも。
アフタートークの中で阿部さんの言っていた
でもね、叶わないからいいのかもしれないよ、思い続けることができる。という言葉が、ちょっとよかったです。轍のように、Mobiusのように。平行線を歩き続けていくのでしょう。
愛情の形は様々で、三島の話を聞きながら、結局は愛しい人たちが幸せな気持ちで生きていけますようにと思いました。特に自分の子どもたちには。
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