2018年11月26日月曜日

死者の書再読のための読書会

tottoのライターnashinokiさんが声をかけてくれて、開催した読書会。
私はダンスの人間なので、読書会を開くのは初めて。そもそも読書会とはどういうものなのか、来た人にも聞かれるという。演劇だと戯曲があるので読んでみようというような講座はあるけれど、ダンス。
ともあれ初めてなりの試みスタートです。
以下もともと予定されていた内容(nashinokiさん作成)

「踊子と、折口信夫『死者の書』を読んでみよう」
構成案
0.今日の会に関する紹介(n) 3

1.参加者それぞれの参加理由、「死者の書」に関するイメージなどを簡単に聞く 15

2.舞踊公演についての説明と、それに関連して読書会の説明。どうしてこの小説を取り上げるのか、ダンスという視点から作品はどう見えるのか(木野) 10

3.折口信夫と「死者の書」に関する概要説明。三つのパートがあること、1〜5章まで終わってから、時間が遡ること、系譜図・位置関係など。問いの提示(n) 5

4.読解 80分(ページ数は岩波文庫版)
(1)滋賀津彦
・「1章」(p.7-14)朗読、説明
・「4章」(p.26-28)歌のみ朗読、「5章」(p.37)滋賀津彦の死の理由や恋などの説明
・木野過去作の映像を見る。作品創作の経緯等を説明

(2)郎女と俤人
・「7章」(p.52-59)朗読・説明。先ほどの歌に関連して、語部の姥、神憑りの説明なども。
・「6章・後半」(p.47-51

(3)石城
・「89章」(P.60-61)部分的に読み説明

   休憩

(4)滋賀津彦と郎女
・「13章」(p.99-104)朗読、説明
・「17章」(p.129-134)部分的に読み、説明 参加者と読む?
・足踏みに関する民俗映像

(5)機織りと曼荼羅
・「18章」(p.137-140 参加者と? 「20章」(p.144-147

5.本日の感想、質問、本公演のことなど 10



これを受けて、いや、絶対間に合わないからと思ったら、やっぱり全ては終わらず4(2)のところまででおよそ2時間半。(30分延長したけれどそこまでしか終わらなかったということです。機織にたどりつけなかった)
でも間に黒静の冒頭や花祭の映像を見せることができたのは良かったと思う。
黒静の照明は三浦さん。(白も三浦さんデザインなのですが、空間がギャラリーなので、あまり照明的には工夫できない。)冒頭のシーンが1章から言葉を拾って、松井冬子さんの絵を思い出しながら作ったので関節の動きがおかしい。この時は嵐が来て大変だった回。
花祭は折口、柳田ともに扱っている700年続いていると言われる愛知と静岡の県境で行われている祭り。国の重要無形文化財。これを見ると日本の祭りの原型のようなものが見えてきます。また、逆に言うと現在行われているお祭りがいかに変容しているかということも見えてくる。

今回関連書籍なども読み返しながら改めて、柳田ではなく折口だから気になったんだなあとか、常民ではないものへの目に惹かれるのだろうなあとか、あえて演劇ではなく(ちなみに折口さんは歌舞伎をはじめとして演劇好き)だけれど舞踊っぽいのはこの作品全体がコラージュされているだけではなく、そもそも能に近い構造だなあとしみじみ思うのでした。自由人折口は一応研究者だけれども、歌人であり、小説を書く創作者であり続けていて、自分自身も教員であり創作者であり、その自由度は保ちたいなあと思っています。

建国体操の時に「世の中はそんなにファンタジーじゃない。」とは言ったものの、今回は珍しくファンタジー、折口乙女ワールド全開。舞踊の根源とはそのようなここにはない世界への思いを馳せ、祈り乞い願う(ちなみに普通に変換すると希うが出てきて、私は感動した。)ものだから仕方ない。鳥取で初めて踊る機会は今まで作ってきたものをできる限り凝縮しシンプルな形でお見せできるようにすべきであると考えました。舞台らしい舞台で踊るのいつぶりかなあという感じですが、舞台芸術としての舞踊という形を鳥取の人に見てもらいたいなあと純粋に思う。

 舞踊は本来人へ寿ぎ(言祝ぐ)笑いをもたらし、幸をもたらすものと、自らの荒ぶる魂を鎮め祈るものに分かれる。「Edge」は明らかに生贄がテーマとなっており、後者にあたる。それ以来15年くらい、たまに「ダンスハ体育ナリ?」のようなポップなものが入りながら、ずっと作り続けている。今回の参加者の方からは「業のようなものですね」と言われるが、本来芸術はそういうものであったはずだ。だからどんな人にもできうるし、起こりうる。折口が歌人であり続けたのもそれに近い。


今回県立図書館さんの協力もあり、折口関連図書をたくさん集めてくれたり(海やまのあひだとか大正時代の本が普通に借りれます)、なので早速書評に出ていた持田さんの本を借りたりして収穫もあり。でもお客さん集めは課題だなあとつくづく。折口さん、今時代にぴったりな人だと思うんだけれどな。

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