わらべ館 即興音楽とダンスのワークショップ
わらべ館 即興音楽とダンスのワークショップ
レポート
日時:2019.12.07. 13:30-15:00(通常は14時半までですが30分延長しました)
場所:わらべ館いべんとほーる
ファシリテーター:棚川寛子
サポートスタッフ:荻野ちよ、田中悦子、森本みち子(ドラムサークルがらがらどん)、高橋智美(わらべ館)、蔵多優美(鳥取大学)、きのさいこ
参加者:10名(うちファシリテーター講座受講者1名)
12:30 ファシリテーター、サポートスタッフ集合、今日の内容について話す。棚川さんより、音楽のワークショップでもまずは体を動かすことから始めるとのこと。その後は選択肢を多く作りつつ、子供達の様子を見て、からだ方向に行くか、音楽方向に行くか判断したいという意向を聞く。
事前に新聞紙で音楽を構成する案などが挙がっていたことと、ドラムサークルの森本さんの協力により、楽器が充実し、選択肢は増加する。
今回は多くの楽器の中から、初めの段階で出しておくのはカホン1つとRemoのドラム3つのみとし、小さな楽器はカーテンの裏に隠してしかしすぐに出せるように用意しておくこととする。
(このとき用意した楽器はチベタンベル、ネパールのシンギングボール、ホース、チャクチャス、フレームドラム、各自が使えるようなエッグシェーカー、パネル、各種ばちなど)(注1)
13:00ファシリテーター講座受講生も合わせて、場づくりを行う。早く来た参加者の中で棚川さんがよくやるという導入のための「ハンカチ落とし」を行う。
棚川さんは小学校などにワークショップで行く際によくウォーミングアップとアイスブレイクを兼ねて「ハンカチ落とし」を行うという。ハンカチ落としの通常のルールに追加して、カホンを叩く棚川さんがいて、カホンが止んだら自動的にハンカチを落とさねばならないというルールが加わる。
これによりゲーム性が失わされそうではあるが、参加者より「すごい優しいハンカチ落としかも!」という声が出る。この子に当たっていないなというのを見ながら棚川さんが調整しているという意味だけではなく、音により走る人が気付きやすくなり捕まりにくくなるという点で、ある意味「優しい」。
13:30 ワークショップスタート
注意事項の確認の後、ワークショップをスタートする。
まず、棚川さんのカホンの音に合わせて動き、音が止まったら止まるというワークからスタート。その際に出されたお題をしてみることになる。片足でストップ、三人組で〇〇など。
「片足でストップ」の時に「お昼ご飯何食べた?」と参加している子供達にきく棚川さん。
「うどん」「食パン」「ラーメン」という言葉に合わせて動きを作り皆で動き始める。
「うどんからのー、食パンからのー、ラーメンーー」というフレーズとともに皆で動きを繰り返す。
3人ずつグループにわかれた時には「遊園地」、5人ずつグループにわかれた時に「夜の鳥取砂丘」というお題が出され、遊園地や砂丘を体で表現し見せ合う。グループが子供、大人が混ざった状態で分かれ、それぞれに感じた夜の鳥取砂丘を表現し発表し合う。棚川さんもこの発表者の中に混ざっている。(注2)
一回お水を飲み、再度集まってきたところで、棚川さんが子供達に「何がしたい?」と話しかけると「動きたい!」「もっと!」との声。そこで動き続けるが大人たちは少々疲労気味の様子。
「実は選択肢がある」と楽器があることを示唆すると、楽器に興味が移ったのか、「身体を動かす」のと「楽器を演奏してみる」の2手に分かれてみることに。
子供達も大人も音楽に行ったり、踊ったりを交互に入れ替わりながらとにかく動き続ける。
サポートアーティストの森本さんがベースのドラムリズムを維持し、それに乗るように音がどんどん増幅していく。途中で随時小物楽器を出していき、少しずつ音の幅も広がりが出る。動き(踊り)ながら演奏もする。
途中、「うどん、食パン、ラーメン」が戻ってきたりしつつ、ひとしきり踊り、演奏し続けてきて盛り上がった感じで終了する。
ここで時計を見ると1時間が経過していた。
そこで一回区切った上で、もしお時間ありましたら少し延長しても良いでしょうか、と参加者の皆さんにお話しし、ワークを追加して行う。
14:30
新聞紙ワーク
棚川さんより楽器がここまで揃わないことを考えて、身近にある素材から音を作ってみるという提案があったので、その部分をやってみることに。
新聞紙は昨年もやぶくみこさん、田中悦子さん、金子泰子さんほか様々な方が使用しており、使いやすい素材の一つ。
今回はくしゅくしゅと丸めたり、ちぎったり、吹いてみたり、いろんな音が出るね、というところに着眼し、はじめは展開していた。子供達が布団に見立てて寝っ転がったり、かけてあげたりという見立て遊びも始まる。(注3)その後サポートアーティスト田中さんが紙鉄砲を作り、皆で教わる。作っているうちに、もっと大きな音を出すにはどうするか相談が始まり、カラー印刷かどうか、1回目が一番大きな音が出る、丁寧におっておかないといい音が出ないなどの意見をもとに皆が作成、一列になって紙鉄砲選手権大会がスタートする。(注4)
最後にみんなで順番に鳴らしてみて30分ほどの延長ワークショップが終了した。
15:00
終了後ファシリテーター講座受講者とともに振り返りを行う。
講師の元々のやりたかったこと、今回できたこと、できなかったことを聞きながら、受講生、サポートアーティストらも意見を交わす。
注1: 目に見えるところに楽器があると、子供達がそこに反応してしまうので、基本的に見えないところに用意をしておくこととした。関係者全員で置き場所などを確認し、すぐに出せるようにしておくことが大切。
注2: 棚川さん(ファシリテーター)も積極的に動き、一緒に参加するという姿勢がありました。演奏に徹さず動き回る棚川さん。一方で今回森本さんが演奏部分に関してはフォローをしており、このように生演奏で展開する場合、サポートをする人がやはり不可欠という意見がでる。
注3:棚川さんより、今回参加しているお子さんの年齢が3、4歳くらいであったため、音楽のアンサンブルに引っ張っていくのは難しいと判断したとのこと。 小学校くらいの年齢になるとそこから工夫し始め、音楽(曲)へと広げていくこともできるとのこと。
注4:子供達は折る作業が難しく、大人たちが折ってあげる。各親子間だけではないコミュニケーションが生まれており、子供達が集団に馴染んでいる様子がうかがえる。棚川さんによると、他の場所でも工作を取り入れると自然とコミュニケーションが生まれ、苦手な子も入りやすいという。棚川さんはお面を作るなどをしたことがあるという。木野の開催する教員免許更新講習でもお面作りや絵を描いたり、ティッシュペーパーでお花を作るなどの手を動かす時間を取ることがある。(その後それらを用いて踊る行為へとつなぐ)おそらく音楽、美術、ダンスといった垣根をなくした「表現の時間」が必要だと個人的には感じている。
棚川さんは「芸術家と子どもたち」(東京)などの仕事として学校の授業の一環として子どもたちと舞台作品を作ることも多い。その際には演劇というジャンルを用いている。演劇は総合芸術であり、音楽やダンスだけではなく、衣装を作ったり、美術を作ったり、台本を書いたり様々な関わりしろがあるという。
自分が作るというよりも、子どもたちが進みたい方向に一緒に乗っかっていくと話す棚川さん。それができるのはこれまでの様々な経験により、何がきても大丈夫という安定感ではないかと感じられた。そのためにも準備は怠らず。ジャンルを横断できる柔軟性を持ち、自由に表現をしていい場所を作っていくことがこのワークショップシリーズの課題になっていくのかもしれないと感じられた。
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