2020年4月20日月曜日

1606年

シェイクスピアの研究ははたくさんいるのだけれど、ちょうどピンポイントで1606年にフォーカスをあてて書いている本を見つけたので読んでみた。
「リア王の時代-1606年のシェイクスピア」(ジェイムズ シャピロ著、河合祥一郎訳、2018、白水社)
私はシェイクスピアフリークでもないし、踊子なので演劇人のようにうんちくを語ることはできないが、このような危機的状況は何度も繰り返されてきたということがわかる。ペスト(当時は原因不明の疫病)が大流行し30人以上なくなると劇場を封鎖しなければいけないとされたこの年。シェイクスピアはある意味どん底型作品「リア王」「マクベス」を作っている。他にも「アントニーとクレオパトラ」もこの時期。当時の書き換えの変遷を追いながら、その元ネタを探っていくというもので、知っている人にはとても面白い読み物なのだと思う。(なお、1606年に書かれたというのはあくまで筆者の推測で、様々な説がある)

当たり前だけれど、作品を上演するごとに役者さんによって、少しずつ役柄が変わったり(当時は当て役も多かった)セリフが増減していく。(よくしていく)シェイクスピアの作品の多くは過去に原案があり、それを大幅に書き足し(あるいは編集)ているものが多い。実際に起きた事件や人物が元になっているところもあるという。

大概世の中が不穏な時、人間の本性が現れるので、面白い作品が生まれるのかもしれない。劇場閉鎖期間にも関わらず名作が生まれる。閉鎖期間だったから執筆に専念しいいものができたのかもしれない。

弔いの鐘がなっても
誰が死んだか問う者もない
善男善女の命が、帽子に挿した花よりも早く事切れ、
病でしぼむ暇もない
(マクベスより)


今読むと妙にリアル。



先日のミーティングで鳥取女子が「たけのこは待ってくれない、今取らないと大変なことになるからたけのこ取ってた(そして茹でまくってた)」という、違う意味での「不要不急な外出」に笑い。鳥取県的にはよく理解できます。毎年うちの大学の竹ゾーン(銀河鉄道祭でも使用されていたあの竹林)で探索をする人を見かけるのですが、今年は見かけません。
人間界はカオスですが、自然は同じように花が咲くのです。たけのこ、取らないと竹林がえらいことになる。たまには春の味覚を。

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